シンガポールにおける脊柱側弯症の治療
Gleneagles Hospital にて、お子さまから成人の方まで、脊椎の側弯に対する診断と治療を行っています。
執筆・監修:ラウ・ロクリム医師(Dr Lau Leok Lim)
整形外科・脊椎外科 シニアコンサルタント
MBBCh ・ MRCS(エディンバラ) ・ MMed(シンガポール国立大学) ・ FRCS(エディンバラ)
シンガポール保健省 専門医登録番号:11302F ・ Orthopaedic & Hand Surgery Partners ・ Gleneagles Hospital ・ シンガポール
原稿(英語版)公開日:2026年5月7日原稿(英語版)最終監修日:2026年7月8日日本語版公開日:2026年8月21日
脊柱側弯症とは

脊柱側弯症とは、脊椎が横方向に異常に彎曲した状態をいいます。小児、思春期、成人のいずれにも生じる可能性があり、経過を見ないと時間とともに進行することがあります。早めの評価により、経過観察、装具療法、理学療法、手術のどれが適しているかを判断できます。
よくみられる兆候
- 肩や腰の高さが左右で違う
- 背骨の彎曲が見てわかる
- 前屈時に片側の背中が盛り上がる
- 背中の痛みや疲れやすさ
- 洋服のフィットが左右で合わない
- 重度の場合は呼吸が制限されることもあります
早急に受診が必要な場合
側弯が急速に悪化している場合、しびれや筋力低下などの神経症状を伴う場合、または呼吸が明らかにしにくい場合は、早急に医療機関を受診してください。
脊柱側弯症の種類
脊柱側弯症は単一の疾患ではありません。種類によって、側弯が今後どのように経過するか、どの治療が適しているかが異なります。
思春期特発性脊柱側弯症(AIS)
最も多いタイプで、10歳から18歳の成長期に発見されることがほとんどです。「特発性」とは原因が特定されていないという意味です。成長途中に進行し、骨成熟に達すると安定することが多くあります。
詳しくは:思春期の脊柱側弯症(AIS)の解説
先天性脊柱側弯症
生まれる前に椎骨が正常に形成されなかったり、分離しなかったことにより生じます。生後早い時期に気づかれることがあり、成長に伴って進行する場合があります。
神経筋性脊柱側弯症
脳性麻痺や筋ジストロフィーなど、脊椎を支える筋肉の力が弱い、または左右で働き方が異なる疾患に伴って生じます。治療の計画では、側弯だけでなくもともとの疾患もあわせて検討します。
症候群性脊柱側弯症
マルファン症候群や神経線維腫症など、全身に関わる遺伝性疾患や結合組織疾患の一部として生じます。側弯の経過はもともとの疾患によって異なり、他の専門科と連携して診療を行います。
腫瘍に伴う脊柱側弯症
最もまれなタイプです。脊椎やその周囲の腫瘍が脊椎の整列や安定性を変化させることにより生じます。
変性性脊柱側弯症(成人)
加齢に伴う椎間板や関節の変化により、成人になってから側弯が生じることがあります。思春期の側弯症では側弯そのものが主な問題となるのに対し、成人では背中の痛みやこわばりを主な訴えとして受診されることが多くなります。
また、思春期に脊柱側弯症があった方が、年を重ねてから側弯の進行を認め、痛みやこわばりが目立つようになることもあります。
腰や背中の痛み全般は腰と背中の痛みの治療をご覧ください。
診断の方法
まず身体所見の診察から始めます。前屈テスト(アダムステスト)は早期の兆候を見つける方法として広く用いられ、胸郭や腰の左右差を確認します。
脊柱側弯症が疑われる場合は、立位でのレントゲン撮影を行い、側弯の角度を測定します。コブ角が10度を超えると脊柱側弯症と診断されます。さらに骨成熟度(リッサー徴候)、側弯のパターン、残された成長の見積もりを評価し、経過観察、装具、手術のどれが適しているかを判断します。
受診を検討したいとき
- 背骨の彎曲が見てわかる、または肩や腰、ウエストの左右差が気になる
- 前屈したときに背中の盛り上がりがはっきりする
- 成長期に側弯が変化しているように見える
- 背中の痛みが続く、または日常生活に支障がある
- 成人の場合:背中の痛みやこわばりの悪化、姿勢の明らかな変化
治療の選択肢
治療は、年齢、側弯の重症度、進行のリスク、症状に応じて決めます。
手術を伴わない治療
- 経過観察。定期的な診察と画像検査で、進行を早い段階でとらえます
- 理学療法および側弯症に特化した運動
- 装具療法(成長途中の選択されたケース)
- 成人の方の痛みのコントロール
手術による治療
手術は、側弯が高度、進行性、または症状を伴う場合に検討します。判断は側弯の大きさと残された成長の両方によります。
まだ成長途中のお子さまでは、側弯がおおよそ35度から40度を超える場合に、脊椎の動きを残す成長調節手術である椎体テザリング(VBT)が選択肢となります。
脊椎固定術は一般に側弯が45度を超える場合に検討され、特定の状況、とりわけ腰椎の側弯や体幹の偏位が大きい場合には、40度から45度でも検討することがあります。
- 脊椎の動きを残す方法:椎体テザリング(VBT)
- 後方脊椎固定術
- 内視鏡下の低侵襲矯正術
関連するページ
このページは一般的な医学情報であり、個々の症状に対する診断や治療方針を示すものではありません。診断および治療は、診察と検査の結果に基づいて個別に判断されます。
